スクールの選び方

教育訓練給付、講座選びの前に確認すること

2026年10月指定の専門実践・特定一般教育訓練の講座公表を機に、給付率や対象講座の確認方法など、申し込む前に自分で確かめるべき判断基準を整理します。

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編集 学び直し実務室編集部

夜の自宅で無理のない学習計画を立てる社会人
スクールと教材を費用や支援内容で比較する編集イラスト

この記事でやること

こんな人に向けています
教育訓練給付を使える講座を検討しているが、対象講座や給付率の確認方法が分からない社会人
読み終えたときの状態
検討している講座が教育訓練給付の対象になるかどうか、給付率の違いも含めて自分で確認できる状態

厚生労働省が2026年8月6日、2026年10月1日付けで指定する教育訓練給付の対象講座を公表しました。専門実践教育訓練で新規138講座・再指定483講座、特定一般教育訓練で新規151講座が加わり、対象講座は累計でそれぞれ3,485講座、1,532講座になります。

出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10 月1日付け指定)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75305.html) 出典:厚生労働省「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75309.html)

数百講座が入れ替わったこと自体は、個々の読者にとって直接の意味を持ちません。意味を持つのは、検討中の講座がこの一覧に含まれるかどうかと、含まれる場合にどちらの区分に当たるかです。区分によって支給される金額の性質が変わるため、受講料の比較を始める前に確認しておく必要があります。2026年8月時点の制度内容として、確認の仕方を整理します。

専門実践と特定一般、給付率だけでなく支給の形も違う

教育訓練給付には複数の区分があり、代表的なものが専門実践教育訓練と特定一般教育訓練です。名称の違いは、対象になりやすい講座の性格の違いでもあります。専門実践は業務独占資格の養成課程や中長期の専門課程が中心で、特定一般はそれより短い実践力育成プログラムなどが中心です。

支給される金額の性質は、単純な割合の大小では比較できません。

専門実践教育訓練 特定一般教育訓練
基本の給付率 受講費用の50%(年間上限40万円) 受講費用の40%(上限20万円)
支給のタイミング 6か月ごとに分割して支給 修了後にまとめて支給
修了・資格取得時の追加給付 資格取得等かつ就職等で20%(年間上限16万円) 資格取得等かつ就職等で10%(上限5万円)
賃金上昇による追加給付 訓練前後で賃金5%以上上昇した場合に10%(年間上限8万円)※令和6年10月1日以降受講開始者 記載なし
対象講座の傾向 業務独占資格の養成課程、専門職大学院、第四次産業革命スキル習得講座など 実践的な速習型プログラムなど

出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10 月1日付け指定)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75305.html) 出典:厚生労働省「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75309.html)

専門実践は割合が高い一方、修了までの期間が長く、支給が6か月ごとに区切られる点を計算に入れる必要があります。在職中に受講する場合、最初の支給を受けるまでの半年間は受講料を立て替える前提で資金計画を組むことになります。特定一般は割合こそ低いものの、講座自体の期間が短く、支給までの待ち時間も短くなりやすい傾向があります。どちらが有利かは金額の大小ではなく、自分が立て替えられる期間と講座の長さの組み合わせで決まります。

対象講座は「分野」ではなく「講座単位」で指定される

見落としやすいのは、教育訓練給付が業界や資格の種類に対して与えられる制度ではなく、個別の講座に対して指定される制度だという点です。同じ資格を目指す講座でも、指定を受けている講座と受けていない講座が併存します。開講している学校名やコース名で検索し、指定講座として名前が挙がっているかを確認する作業が必須になります。

確認先は、通う予定の学校の窓口、またはハローワークです。学校の説明ページに「教育訓練給付制度対象」と書かれていても、対象になっているコースが限定されている場合があるため、申し込もうとしている具体的なコース名で確認します。今回の公表では、指定は2026年10月1日付けで発効します。それより前に対象講座として案内されていても、発効日以降でなければ支給の対象にはなりません。受講開始日と指定発効日の前後関係も、申し込み前に確認しておく事項です。

受給できるかどうかは、講座選びより先に決まっている

講座が指定を受けていても、支給を受けられるかどうかは受講者側の条件で決まります。雇用保険の加入期間など、受給資格そのものに関する要件があり、これは講座の内容とは別に判定されます。要件を満たしていない場合、指定講座であっても給付は出ません。

この確認は、講座を比較する作業より先に済ませておくべきものです。受給できる前提で受講料の実質負担額を計算してしまうと、要件を満たしていなかった場合に計画全体が崩れます。自分が対象者に当たるかどうかは、ハローワークで雇用保険の被保険者番号をもとに確認できます。講座を絞り込む前に、まず自分が制度の対象者かどうかを確かめる順番が安全です。

給付を差し引いた後の金額で、初めて比較になる

受講料の比較は、表示されている金額同士を並べるだけでは終わりません。給付を受けられる前提が確認できたら、区分ごとの給付率を差し引いた実質負担額で並べ直します。専門実践の対象講座は表示価格が高い場合が多く、給付を差し引く前の金額だけを見ると特定一般より不利に映ります。給付率が高い分、実質負担額で見ると逆転することがあり、この逆転は表示価格だけを見ていては気づけません。

総費用をどう捉えるか、受講料以外に何を足して比較すべきかは、スクールの費用対効果はどう比較すればよいかで扱っている考え方がそのまま使えます。教育訓練給付が絡む場合は、そこに「給付を差し引いた後の金額」という工程を一段追加することになります。

働きながら通える形式が増えていることも、確認事項に入る

今回の指定では、通学形式にも変化があります。専門実践教育訓練ではオンライン講座58、夜間講座7、土日講座16が新たに指定され、特定一般教育訓練ではオンライン講座90、夜間講座52、土日講座52が新たに指定されました。

出典:厚生労働省「専門実践教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10 月1日付け指定)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75305.html) 出典:厚生労働省「特定一般教育訓練の指定講座を公表しました(令和8年10月1日付け指定)」(https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_75309.html)

給付率が高い講座であっても、平日昼間しか開講していなければ在職者は通えません。指定講座の一覧を確認する際は、給付率だけでなく開講形式もあわせて見る必要があります。特に専門実践は夜間講座の指定数が少ないため、専門実践の対象講座かつ夜間開講という組み合わせは選択肢が絞られやすくなります。通学にどれだけの時間を割けるかを先に決めておくと、給付率だけで選んで後から通えないと気づく事態を避けられます。学習時間の確保をどう見積もるかは、講座選びと並行して検討しておく事項です。

次にやること

制度そのものを理解することと、自分が使えるかどうかを確認することは別の作業です。順番に進めます。

  1. 検討している学校・コースの窓口、またはハローワークで、そのコースが2026年10月1日付けの指定講座に含まれているかを確認します
  2. 含まれている場合、専門実践と特定一般のどちらの区分かを確認し、支給が6か月ごとか修了後一括かで資金計画を組み直します
  3. ハローワークで自分が受給要件を満たす対象者かどうかを確認します。これは講座を絞り込む前に済ませます
  4. 表示されている受講料から給付率を差し引いた実質負担額を出し、そのうえで候補どうしを比較します
  5. 開講形式(オンライン・夜間・土日)が、自分が確保できる時間と合っているかを確認します

給付の対象になるかどうかは講座ごとに異なり、時期によって指定内容も入れ替わります。申し込みの直前にもう一度、指定状況と自分の受給要件を確認しておくと、支給されない前提で計画をやり直す事態を避けられます。