スクールの選び方
受講を最後まで続けるために、申し込む前に決めておくこと
受講が止まるのは内容が難しくなった時点ではなく、環境の準備・最初の提出・中盤・修了直前という決まった時点です。離脱点を先に把握し、開始時期を1年の予定の上で決め、遅れに気づく仕掛けを用意する手順を扱います。
この記事でやること
- こんな人に向けています
- スクールや講座の受講を決めた、または検討中で、途中で止まらないか不安な社会人
- 読み終えたときの状態
- 受講が止まりやすい時点を事前に把握し、開始時期と手当てを決められる状態
受講を始めて最初の2週間はよく進みます。教材が新しく、扱う内容も入口なので、帰宅後に開く日が続きます。ところが3週目か4週目に、提出を1回落とします。落としたこと自体は小さな出来事です。
ところが次に開いたとき、進度は先に行っています。追いつく作業が学習の前に挟まり、その日は追いつくだけで終わります。これが2回起きると、開く回数が目に見えて減ります。受講をやめた理由として後から語られる「忙しくなった」は、たいていこの経過を指しています。
忙しくなること自体は、受講を決めた時点でも分かっていたはずです。分かっていたのに対処できなかったのは、忙しさが来る時期と、忙しさが直撃する場所を特定していなかったからです。受講は期間が固定されているぶん、独学より生活の変動に弱い形をしています。
この記事では、申し込む前に決めておくと止まりにくくなることを扱います。止まったあとに計画を組み直す手順は学習が途中で止まる理由と続く計画の作り方の担当なので、ここでは触れません。支払った額を回収できるかどうかも別の判断になるため、扱うのは時期と段取りだけです。
受講が止まるのは、難しくなった時点ではなく決まった4つの時点です
受講中に手が止まる場所は、分野が違ってもよく似た位置に現れます。内容の難度が上がる箇所ではなく、学習以外の作業が急に増える箇所です。
| 開始前後 | 最初の提出・最初の面談 | 中盤 | 修了直前 | |
|---|---|---|---|---|
| いつ来るか | 申し込みから最初の1〜2週 | 最初の締切 | 全体の半ばあたり | 期限の直前 |
| 起きていること | 環境の準備や初期設定で止まり、教材本体に入る前に日数を使う | 準備にかかる量が想定と違い、1回落とす。落ちた状態がそのまま既定になる | 説明は追えるのに自分では書けない・作れない状態になり、進んでいる実感が消える | 課題は消化したが、人に見せられる形の成果物が無い。期限だけが来る |
| 事前に用意しておくもの | 開始日より前に環境を通し、動く状態で初日を迎える | 最初の締切がある週に、他の予定を入れない | 未知に入る時期を見込んで、質問を出す先を決めておく | 成果物の題材を、受講開始の時点で決めておく |
| 起きてからの手当て | 環境の問題を自力で抱えない。最初の質問権をここで使う | 落とした回を取り返さず、次の回に間に合わせる | 視聴の比率を下げ、手を動かす比率を上げる | 範囲を削って完成させる。未完成のものは実績にならない |
4つのうち、見落とされやすいのが1つ目です。環境の準備は学習の中身ではないため、対策の対象として扱われにくい場所です。実際には、ここで数日から2週間を失い、その遅れを抱えたまま最初の締切に入るという流れが起きます。開始前に通しておけば、この遅れは丸ごと消えます。
3つ目は、原因を難度に帰しやすい場所です。実際には、視聴と読解だけで進んできた分の付けが出ている場合が多くなります。同じ教材を何度も見直すより、小さくても自分で一つ作るほうが早く抜けられます。
止まる原因そのものの分け方は先に挙げた記事で扱っていますが、そちらは原因の類型、ここは時系列です。自分がどの時点で止まりやすいかは、過去に受講や独学が止まった時期を思い出すと当たりが付きます。毎回1つ目で止まっているなら、講座選びより先に環境を用意することのほうが効きます。
受講期間を、自分の1年の上に置いてから決めます
受講期間は、講座側の都合で3か月や6か月と決まっています。一方で、自分の1年には動かせない予定が入っています。この2つを重ねずに申し込むと、繁忙期のど真ん中に最初の締切が来る、といったことが起きます。
先にやるのは、12か月分の書き出しです。書くのは、自分の意志で動かせない予定だけにします。
- 業務の繁忙期。月次・四半期・決算・年度末のどこに山が来るか
- 人事の時期。異動や担当替えが起きうる月
- 家族の予定。入学、進級、行事、介護に関わる時期
- 自分の予定のうち、日付が確定しているもの
書き出したら、検討している受講期間をその上に置き、重なる週を数えます。編集部としては、重なりが期間の4分の1を超える場合は、開始月か期間のどちらかを変えることを勧めます。4分の1というのは、そのくらい重なると「遅れを取り返す週」が確保できなくなるという意味です。
長い期間を選べば安全になるわけでもありません。期間が長いほど、途中で異動や生活の変化に当たる確率が上がります。短くすれば週あたりの稼働が上がるので、どちらに寄せるかは週に出せる時間で決まります。その数字の出し方は社会人が学習時間をどこから捻出するかにまとめています。
外から来る期限がある場合は、そこから逆算します。異動希望の提出時期、契約の更新月、応募したい求人が出る時期。逆算した開始日が繁忙期に重なるなら、範囲を狭めて期間を短くするほうが、期間を守って中身を落とすより結果が残ります。
「いま始めるか、待つか」は待つ理由の中身で決まります
開始を先送りするかどうかは、待つ理由が外側にあるか内側にあるかで判断できます。
待ってよい理由は、日付が決まっているものです。2か月以内に繁忙期が来る、異動の内示が出ている、家族の予定が確定している、週に出せる時間をまだ測っていない。いずれも「いつになったら条件が変わるか」を答えられます。この場合は、始める月を決めて、それまでに助走を済ませます。
待つと必ず遅れる理由は、終わりが定義されていないものです。準備が足りない気がする、基礎をもう少し独学してから、もっと合う講座があるかもしれない。これらには終了条件がないので、待っている間に条件が整うことはありません。基礎を独学で埋めてから受講する計画は、その独学が止まった時点で全体が止まります。
判定の仕方は一つです。「何が起きたら始めるのか」を日付か出来事で書けるかどうか。書けないなら、それは待つ理由ではなく着手の先送りです。
そもそも受講という手段が要るのかを決めかねている段階なら、待つ・待たないの前に手段の判断が残っています。何を外部から買うことになるのかはオンラインスクールと独学は何が違うのかで整理しています。
契約条件のどれを必須にするかは、地図の形から決まります
契約前に確認する項目そのものは社会人向けITスクールの選び方にまとめてあります。ここで扱うのは、そのうちどれを自分の必須条件にするかです。全項目を同じ重さで確認しようとすると、候補が増えたときに差がつかず、決められなくなります。
重みは、書き出した地図の形から決まります。
手がつけられない週が固まって現れる形(決算や年度末が1か所にある、家族の行事が特定の月に集中する)では、止まっている期間をどう扱えるかが最優先になります。1か月まるごと空くと先に分かっているのに、その1か月を吸収できない条件で契約すると、他の条件がどれだけ良くても期間内には終わりません。
手がつけられない週が散らばって現れる形では、遅れが1回ずつ小さく発生します。効いてくるのは、間に合わなかった回をその後どう扱ってもらえるかのほうです。1回落とすと戻れない運用だと、散発的な遅れが積み上がって修了に届かなくなります。
期間中に大きな山が無い形なら、この領域は加点条件で構いません。優先度は、この後で扱う進度を保つ仕掛けのほうに移ります。
自分がどの形なのかは、地図を書く前には分かりません。順番としては、地図を先に書き、そこから必須条件を決め、最後に候補を見ます。候補を見てから条件を作ると、候補が持っている条件のほうに自分の基準が寄っていきます。
開始前の2週間でやる助走が、最初の1か月を決めます
申し込みから開始までに間があるなら、その期間の使い方で最初の1か月の進み方が変わります。やることは4つです。
週に出せる時間を実測します。 見込みではなく、1週間の記録から出した数字を使います。ここで足りないと分かったら、開始前なら期間や範囲をまだ変えられます。
環境を通します。 必要な機器、ソフト、通信、作業する場所。動く状態まで持っていってから初日を迎えると、1つ目の離脱点が消えます。教材の指定環境が公開されていない場合は、事前に問い合わせて確認しておく価値があります。
前提知識の穴を1つだけ埋めます。 全部を埋めようとすると助走が終わりません。過去に同じ分野で止まった箇所があるなら、そこだけを先に潰します。
学習の場所と時間帯を固定し、周囲に伝えます。 曜日と時刻を決めて、同居する人や職場に伝えておきます。伝えた枠は他の予定に食われにくくなります。
助走に1か月も2か月もかける必要はありません。長く取ると、それ自体が前節の「待つと遅れる理由」に変わります。2週間で終わる範囲に区切ってください。
遅れに自分以外が気づく仕掛けを、受講前に1つ作ります
受講料を払っても、進度が落ちたことに誰かが気づくとは限りません。録画教材を自分の裁量で進める形式では、開かなくなっても通知が来るだけで、そこで止まります。この状態は、費用がかかっている以外は独学と同じです。
申し込みの前に、遅れに気づく仕掛けを一つ決めておきます。候補はいくつかあります。
- 面談や講義の予定を先に押さえる。日時が入っていれば、行かなかったことが誰かの目に残ります
- 提出の締切がある形式を選ぶ。未提出は数字として見えます
- 職場で使う日を先に宣言する。学んだ内容を使う場面を業務側に置くと、締切が業務から来ます
- 家族に曜日と時間を伝える。守れなかった週があれば話題になります
仕掛けとして機能するかどうかは、2つの条件で決まります。相手が「来なかったこと」に気づくこと、そして指摘が学習内容ではなく出席や提出について行われることです。内容の質を評価してもらう関係は、止まっている期間には作動しません。
どの形式にどの仕掛けが備わっているかは、講座の型によって違います。数週間空けたときに何が起きるかを型ごとに比べたものがオンラインスクールを比較するときの判断基準にあるので、そちらを自分の止まり方と突き合わせてください。
申し込む前に決めておくこと
- 12か月の予定を書き出し、検討している受講期間を重ねて、手がつけられない週を数えます
- 重なりが期間の4分の1を超えるなら、開始月を後ろにずらすか、期間の短い選択肢に変えます
- 4つの離脱点のうち、自分が過去に止まった位置を一つ選び、その手当てを先に用意します
- 契約条件のうち、地図の形から効いてくるものを1つか2つだけ必須条件に決めます。残りは加点で扱います
- 遅れに気づく仕掛けを一つ決めます。決まらないうちは、締切が外から来る形式を優先します
- 開始前の2週間で、時間の実測・環境・前提知識の穴・枠の申告を済ませます
このうち1と2を飛ばして申し込む例が最も多く、結果として最初の締切が繁忙期に重なります。順番としては、講座を比べるより先に、自分の1年を書き出すほうが早く決まります。
よくある詰まりどころ
忙しくなるのが分かっているので、始める時期がいつまでも来ない
繁忙期が無い年はありません。探すのは空いている期間ではなく、山と山の間で最初の1か月を確保できる時期です。最初の1か月さえ通れば、その後の中断は再開の問題になります。逆に最初の1か月が繁忙期だと、再開する対象がまだ何も無い状態で止まります。
一度受講を途中でやめたことがあり、また同じになりそうで踏み切れない
前回どの時点で止まったかを思い出してください。開始直後なら環境と助走、最初の締切なら期間の置き方、中盤なら手を動かす比率、修了直前なら成果物の題材。止まった位置ごとに手当てが違うので、同じことが起きるかどうかは意志ではなく設計で決まります。
短期集中なら、止まる前に終わるのではないか
期間が短いぶん、1週間の欠けが与える影響は大きくなります。週に出せる時間が確保できている人には有効ですが、確保できていない場合は、遅れを取り返す週が無いまま期間が終わります。短期を選ぶ前提条件は、時間の実測値がすでに足りていることです。
遅れを申告するのが気まずくて、連絡しないまま日数が経つ
申告が遅れるほど、追いつく量が増えて連絡しにくくなります。この構造は最初から分かっているので、遅れた時点で出す文面を先に決めておくと動きやすくなります。現在地、止まっている理由、いつまでに追いつく予定か。この3つだけで足ります。
受講中に異動が決まり、学ぶ内容と業務が離れてしまった
期間の途中で前提が変わった場合は、修了することを目的にせず、残りをどう使うかを決め直します。新しい業務で使える範囲があるならそこに寄せ、無いなら成果物を一つ完成させることに絞ります。修了した記録より、工程を説明できる成果物が一つあるほうが、後から使える場面が多くなります。